普結くんは、桃にイジワル。




「今日はまた、ドロドロしてそうな本読んでるのね…」

「勝手に人の読んでるもの見ないでもらっていいっすかーうざいんでー」

「どうしたんだよ普結!
いつもより三倍増しで性格悪いぞ?」

「…粗大ゴミに出されたいの?」


いつもどおりの鈴木のやかましい声に青筋を立てた普結くんは、

表紙にデカデカと″黒魔術〜なんか気に食わない相手を罠に嵌める本〜″なんて書いてある本を手にしている。


今日も蒸し暑い教室にイライラしているらしい。

こういう時はさっさと自分の席につくに限る。



「なんだよ普結、今日も暑くてイライラしてんのか?
今日はアレがあるから涼めるぞ!」

「アレってなに?」


ひょこんと顔を出したリエちゃんにおはよう、と声をかける。

勿体ぶってニヤニヤする鈴木の顔に黒魔術の本を投げつけた普結くんは、低い声で言った。


「勿体ぶるなよどうせ大したことじゃないだろ…」


うわ、痛そう。
顔面にクリティカルヒットだ。

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