普結くんは、桃にイジワル。
汗をかいた顔ですら爽やかって本当すごい。
すこし日に焼けた顔をにこにこと綻ばせて駆け足で此方へ向かってくる鳴海くんは、
大きな犬みたいだ。
「かわいいなあ」
そう呟いた瞬間だった。
グラウンドを向いていたはずの視界は突然反転して、
眩しい青い空がいっぱいに広がる。
「うわーお大胆…」
鈴木の声に自分が今どんな状況なのかを察した。
お腹に回った細くてごつい腕、
頬にあたる汗ばんだ肌。
ふわりと香る匂いで、普結くんだとわかる。
後ろにいた普結くんに思い切り引っ張られたあたしは、
彼に抱き抱えられるように後ろから地面へと倒れ込んでいた。