普結くんは、桃にイジワル。
「…ちょっとちょっと普結くん
これは悪戯にしては悪質じゃない?」
「悪戯?
悪戯なわけないじゃん馬鹿なの?」
「…じゃあなんなのこの状況は」
お腹に回った腕にぎゅっと力が入る。
更に密着するように、
普結くんの顔が首筋へと埋まった。
冷静に話しながら内心大混乱中のあたしの顔はどんどん赤くなって、
「…柚山、桃がやばい」
リエちゃんから冷静なツッコミが入った。
「急に何してんだよ学校のど真ん中で!!
もーほんとこれだから発情期のお猿さんは困っちゃうよなあ〜!」
「鈴木ものすごく目が泳いでるけど大丈夫?」
「だだだ大丈夫にきまってんだろ!
あれだぞ別にこういうのに免疫がないとかじゃなくてただ羨ましいなーって思っただけで!
俺が女の子にあんなことしたら通報されそうだからさ?!!」
セミが鳴きわめく炎天下の中、
あたしたちの周りだけ空気の温度ががくりと下がった気がしたけど
鈴木のマイペースなキンキン声に
少しだけいつものコミカルな空気に戻った。
…ありがとう、鈴木。
あたしは心の中で、鈴木に生まれて初めて感謝した。