普結くんは、桃にイジワル。




お弁当をなんとか空にして、
教室へと戻る。


教室へ戻った瞬間ドンと飛び込んでくる、綺麗な横顔。

…仕方ない、よね?

あんなに整ってる顔、目で追ってしまうのは当たり前だよね?



言い訳をしながら遠くからじっと見つめてみた。


一瞬だけ、スローモーションみたいに
空気が動く。


周りの人達の動きが止まったみたいに
普結くんの動きしか目に入らない。



文庫本から少し目を動かした普結くんの目が

不意にあたしの目をとらえた。




「……あ、」



しまった、と思って目を逸らしたときにはもう遅かった。

何かを見透かすような普結くんの目が、

じっとあたしを見つめて離さない。



もう一度恐る恐る普結くんに目を向ければ、
やっぱりじっとあたしのことを見てる。





チャイムが鳴った拍子に現実へと引き戻される。
ガタガタと音を立てて自分の席へ戻っていくみんなの姿を横目に、あたしも席へと戻った。
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