普結くんは、桃にイジワル。
サラリと軽く言ってのけた言葉に、
あたしの心臓はありえないくらいの速さで脈を打つ。
一切表情の変わらない普結くんがどういうつもりでこの言葉を吐いたのか、
全く理解できない。
「そ、それってどう「はい席ついてー」
タイミング悪く先生の声でかき消されたけど、
″特別だから″
その言葉の意味が気になって仕方ない。
特別って、いい意味で特別?
それとも、
″なんとも思ってない人″って意味で
特別?
もやもやとする気持ちをなんとか抑えて渋々と席へ着いた。
横目で盗み見た普結くんの顔は前を向いたまま、
頬杖をついた退屈そうな顔。
此方を向こうともしないのでどんな顔をしているのかすら分からない。