普結くんは、桃にイジワル。
「…なんで今言うかな…」
「あれ、もしかして遅かった?
ややこしいことになっちゃった?」
泣きたいのを堪えるようなあの顔を思い出す。
眉を寄せたあの顔、初めて見た。
思い出しただけでこれだ、
手が勝手に動いてあの小さな身体を引き寄せたくなる。
だけど今は、手を伸ばしたって何も掴めない。
虚しく空回りする右手を見つめてため息を吐く。
「ため息つくとシワ増えるよ?」
「…へえ、その根拠は?」
「適当」
茶髪を揺らして笑う相楽さんの声を聞きながら、
ゆっくりと日が暮れていくのをいつまでも眺めていた。