普結くんは、桃にイジワル。
臆病な君の思うツボ 10
翌朝。
あたしの足取りは死ぬほど重かった。
学校への通い慣れた道が、
知らない景色のように見える。
一睡も出来なかった目には立派なクマ、顔はむくんでパンパン。
普通の日だってこんな顔で学校に行くなんて嫌に決まってるのに、
今日は普通の日じゃない。
昨日普結くんを怒らせてしまった。
しかも彼は隣の席、
嫌でも顔を合わせてしまう。
…ああ、休みたい。
今朝から何度思っただろう。
うちの母親が理由なく休ませてくれるはずもなく、重い足を引きずって登校してる訳だけど。
「あれ、桃?
おはよ。珍しいわねこの時間に登校なんて」
「あ、リエちゃん…おはよ…」
「…クマ」
「今日はクマつけて登校したい気分だったんだよね〜あはは」
苦しすぎる言い訳をしながらなんとか校門をくぐる。
ついにたどり着いてしまった。
どんな顔してるかな、普結くん。
もしかしたら口きいてくれないかも。
無視されたら本当に心臓止まりそう。