普結くんは、桃にイジワル。
普結くんがいない学校はやけに穏やかにで静かだ。
授業中抑えた声で話しかけられることもない、
リエちゃんとの会話に割って入られることもない。
「…なんか柚山がいないと静かね」
空席の隣はやけに寂しそうに見えた。
「なあ、普結んとこお見舞い行かね?!」
「…まーたあんたはそんな突拍子もないことを…」
放課後、
元気よく教室のドアを開けた鈴木の提案にギクリと身体が強張る。
いけない。
あたしはいけない。
「普結もきっと寂しがってると思うんだよな!
なあ鳴海くん!」
「なんで1年生の鳴海くんがナチュラルに2年の教室にいるわけ?」
「まーまー、細かいこと気にすんなって!
さっき教室の前でウロウロしてたから連れてきたんだよ!」
金髪を揺らして笑う鈴木に隠れていて見えなかったけど、
どこか遠慮がちな鳴海くんも居たらしい。
目が合うと慌てて逸らした彼を見て、
昨日のことが頭を過ぎる。
…なんか、
いろいろあって忘れてたけど。
鳴海くんからもすごいことをされたような…。