わんこな後輩彼氏の話。
ふわっと笑った桃萌ちゃんの破壊力はすごい。
だってさ、ほら、普段は無表情でさ、笑わなくて、そういう子がたまにこうやって笑うとさ?
……やっぱ好きだ〜〜!!!!!


「今日翔琉くんは?」


ピキッ、と表情が固まったのは自分でもわかった。


翔琉……って言うのは僕の弟で……僕の最大の敵。
何せ、翔琉がいたら桃萌ちゃんは翔琉の相手ばっかしてさ?僕の相手はしてくれないんだよ。
まあさ?小学生だから、相手したくなるのもわかるけどさ?
でももう翔琉も3年だよ?
もう十分成長したもん。


「塾行った……昼には帰ってくるでしょ」
「遥叶、顔怖いよ?」
「……別にー」


僕の顔を覗き込む桃萌ちゃんはびっくりするくらい可愛い。
それでも、翔琉、と発声したその口だけは気に入らない。


「翔琉くんにそんなやきもち焼かないの」


桃萌ちゃんには全部お見通しらしい。
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