わんこな後輩彼氏の話。
「知らなーい。桃萌ちゃん以外興味ない。
……今日、あの人と2人なの?」
「かもねー、遥叶先帰る?」
「一緒に掃除して帰る」
「ん、一緒に帰ろっか」
「うん。……2人っきりとか考えるだけで死にたい」


遥叶は泣きそうになりながら、私のお腹に顔を押し付ける。


「なんもないよ?私遥叶だけだもん」
「……向こうはそうじゃないかもしれないじゃん。
桃萌ちゃん、女の子だから、力は勝てないもん。
男はみんなオオカミだもん」
「でも、遥叶が守ってくれるんでしょ?」
「……ん、桃萌ちゃん守るのは、僕の特権」
「うん」


ずずっと鼻をすすって、顔を上げる。
半泣き。


「そんなことで泣かないの。遥叶も一緒にいてくれるんでしょ?」
「……うん」


泣き虫だなぁ、変わんない。
それがなんだか嬉しくて、頬が緩む。


「桃萌ちゃん……なんか、嬉しそう」
「ふふっ、遥叶可愛いなって」
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