La Belle〜あなたといることが私の幸せ〜



ベルが目を覚ますと、そこにあったのはすっかり見慣れてしまった豪華なシャンデリアのある天井。ベルはゆっくりと体を起こし、天蓋付きのベッドから出て着替え始めた。

ベルは恐ろしい見た目からこの屋敷に篭っている男性と暮らしている。父親の盗みを許す代わりにベルが連れて来られたのだ。

「あの庭のバラが散るまでお前は私といろ」

そう告げた男性を最初はベルは怖いと感じたものの、今では恐怖心などほとんどない。なぜならーーー。

「ベル、起きているか?」

コンコンとドアがノックされ、ベルは「起きていますよ」と答える。すると紺色のスーツを着た男性が姿を見せた。スーツは立派でとても美しい。しかし、男性の顔には醜い傷痕があった。

「何かありましたか?」

ベルは髪をくしで解く手を止め、男性を見つめる。男性は頬をほんのりと赤く染めながら言った。

「新しい本をメイドに街で買ってきてもらった。また読むといい」
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