La Belle〜あなたといることが私の幸せ〜
「シェイクスピアならハムレットが私は好きだ。生きるべきか死ぬべきか、それが問題だという名言が気に入っている」

豪華な調度品が置かれた廊下を二人で歩いていると、使用人たちとすれ違う。ベルと男性が微笑むと、使用人たちも微笑み返してくれた。少し前まで、使用人たちに笑顔などなかった。ベルの中に嬉しさがあふれていく。

「ベル」

シェイクスピアの話をしながら歩くベルの腕を、不意に男性が掴んだ。そしてゆっくりとその口が動く。

「今夜、一緒に踊ってくれないか?」

男性の突然の誘いにベルは驚く。しかし、すぐに微笑んでこう返した。

「はい、喜んで」



その日の夜、ベルは少し緊張しながらダンスホールにいた。豪華絢爛なダンスホールは、昔は多くの人がダンスを楽しんでいたのだろう。しかし今は、ベルと男性の二人きりだ。

ベルはメイドが選んでくれた金の装飾が施された美しい黄色のドレスを着ている。男性もパーティー用の燕尾服に着替えていた。互いにどこか緊張しているのがわかる。
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