La Belle〜あなたといることが私の幸せ〜
「ご主人様、しっかりエスコートなさってくださいね」

「ベル様、とてもお綺麗です。不安になることはありませんよ」

メイドや使用人にそう言われ、ベルは笑ってしまった。それを見て男性が優しく微笑む。

男性がベルの手を取り、ベルの華奢な腰に腕を回す。そして流れるワルツに合わせて二人は踊り始めた。二人きりの特別な舞踏会だ。

「上手だな……」

男性が驚いたように言う。ベルはにこりと笑って「昔は裕福でしたから、パーティーに参加する機会もあったんですよ」と言った。

何曲か踊った後、ベルと男性はダンスホールから外へと出る。冬の風が思ったより冷たく、ベルは体を震わせた。それに気付いたのか、男性が燕尾服のジャケットを着せる。

「そんな格好では風邪を引くぞ」

「あ、ありがとうございます。ですがこれではあなたが……」

ジャケットを脱ごうとするベルを男性は止め、微笑む。

「お前が着ていろ。私は体が丈夫だから少々のことで体調を崩したりしない」
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