可愛らしさの欠片もない
「どうですか?この話は全くの空想話だと言い切れますか?
馬鹿馬鹿しくて話にならないくらいのことですか?」
ここまで言うと、もう…頭がおかしいんじゃないかって。
「はぁ、全くだ、話にならない。想像がたくましい。よくここまで発想が飛ぶもんだ。だけど、その元を作っているのは知らなさ過ぎて信じられないってことが原因だ、そうだよな」
「はい」
「そこまでなるくらいなら、何でも聞けばいいのに」
「え?」
「反対にこっちから聞こうとしたら、なんだか…はっきり言わないような言い方をしたり、最小限な返しをするから、あぁ優李は自分のことを詮索されたくない、そういうことは好きではないって子なのかなと思ってだな。俺も……嫌われたくはないし、だから、…することはしても、話すことがなくなってしまった」
あ。
「確かに仕事は仕事で遅くもなる。だけど、構わないなら、遅くなってだって、こうして会いに来たかった。だけど最初だから、バランスが難しい。俺ばかりがそんなに……どうなんだろうと思って。…それに、会えばしたくもなる。だからそればかりなのかとか、冷たい印象にもさせてしまったな、ごめん、相当悩ませたな」
「あ、では」
「うん、俺はずっと言ってるだろ。信じてほしい。離婚話は俺と妻との問題だ。そこに久田は一切関係ない。久田と連絡をしたのも、この前のが本当に久しぶりのことでそれっきりだ。優李が想像するような関係などあり得ない」
それは言ってくれてたこと。
「それでどうしたい?やはり、なしにしたいと、そう思ってるか?」