可愛らしさの欠片もない
「それは俺の言うことを信じない、完全な、勝手な思い込みじゃないか」
あー、もー、好印象がどんどん崩壊していく。
「最低ですよ。解らないから、どうとでも言えるって思ってしまったんです」
「よく知らない解らない相手だからこそ、信じようとは思わないのか。仮にも好きになった相手のことだ。…自分も否定するのか。まあ、いい。仕方のないことだ。……だったら、離婚の理由をわざわざ印象の悪くなる浮気だなんて言わないだろ…。どうせ嘘で誤魔化すなら、美談になるような理由にするよ。……やってられないな」
なんですって?
「ちょっと…今、なんて言いました?」
「やってられないな、って言ったけど?」
「それ、どういう意味ですか。信じられなくても…」
「仕方ないよ?知らないんだから。だけど、こんな大事な話をしてるんだ。俺の何を知らないっていっても、信じてもらわなきゃ始まらない話だ。俺もつい言い返したりしたから、余計印象が悪いんだろうけど」
「それは…」
…そうじゃないとは言いません。
「確かに浮気はしてたんだ。だけど、証拠がないんだ」
「はあ?!あ、……また、すみません…でした」
下品な大きな声が出たことを謝った。
なに、それ…。やっぱりそういうことにして別れたいんじゃないの?
「人を悪者にして離婚したい訳じゃない、本当だから本当のことを話してるんだ。仕方ない。あ、そうか、庇えば良かったのか…」
……それ、今更…わざとらしいでしょ。
「つまらない結婚生活なら、終わりにした方がいいだろう、って話だ 。元々、すれ違い夫婦だった。それでも結婚前からそうなるって解ってたから、それでいいって言ったのは向こうなんだ。だけど、結局だ。時間が合わない、一人で居るのと変わらないって言うんだ。俺はどうしたらいい?」
…知りませんよ。
「私に聞かれても」