可愛らしさの欠片もない
「……優李、帰るよ」
「…は、い、…う、ん」
…朝だ。…宣言通り。
「今日も来てもいいか?」
…え、今日?!今夜も?
「はい。…はい」
嬉しい、ドキドキする。…今ので目が覚めた。
「何か予定があったか?」
「ううん、予定はなにも…ぁ、んぅ」
寝起きのキスだ。手をついた。ベッドに腰を下ろしシャツの袖に腕を通していたと思ったら顔が接近していた。
「…ん、じゃあ、なるべく早く来る。無理になったら連絡頼む」
まずそんなことにはならない。
「ご飯とか要らないから、余計な気は回さないでいい」
「解りました」
余計って。
「優李、まだ言ってなかったな」
「は、い?」
「好きだ」
「…え、あ、…はい」
いきなり…好き、って…。
「…有り難う、俺を好きだと言ってくれて」
「あ、どうしたんですか…」
唇が触れた。…あ…。似合わないと思った。こんなこと、言うタイプの人には見えないと思った。解ってるから言わないって人かと思った。
「……優李、昨日言ってただろ?自分のこと。いきなりこんなことを言うけど、変な人ではないって」
「あ、はい、告白ですね。そう言わないと…ぁ」
また唇が触れた。ゆっくり離れた。
「…どうやって話したらいいか、知らない人間相手だと難しいよな…」
「はい」
なに?…どうしたの?もしかして…まだなにかあるの?
「はぁ。だから凄いなと思ってな…」
あ、抱きしめられた。
だって、何とかしなくちゃ伝えられないからでしょ?必死だったのが余計変に映ったってこと?なに、今更そんなこと、改めたりして。
「俺は優李に救われた」
「え?…な、に」