可愛らしさの欠片もない
「疑うわけじゃないけど、なんか、そういったことをしてるって書類とかさ、弁護士の名前とかさ、聞いてみたら?」

そんなことをするには今更な気がする。

「あー、でももう、無理になっちゃったか…そうだよな、もしそうなら、咲来さんは引き返せるけど、そうじゃなかったときは、信頼はなくなる訳だから。どっちにしても続けるのは難しくなってくるよな、揉めてけんかして…終わりってことだ。けんかにもならないか…呆れちゃって…。
その前段階で言っても何も出さないかもしれないしね、それが一番、何も解らなくて困るって結果になるよね。う~ん、ややこしい人を好きになっちゃったんだね。それも、言ってみなきゃ解らなかったことだもんね。
どういう人か調べてから言えば良かったんじゃない?でもそれだと探偵とかに調査依頼ってことになるのか。そこまでして恋愛するかっていったらしないか。……結婚相手ならするのか…。いずれ結婚を、とか言われてたら、詐欺師かもしれないしさ。こんなこと考えたら本当、きりがないよ」

もう駄目な方にしか言われてないような気がする。知らないからずばずば言ってるけど、先輩と知り合いなんですからね。

「結局…不安は何で解消できるんだろうね。信じること、それなんだろうけど。
ところで、久田さんは今日はどうしたの?」

「あ、先輩は来ますよ?」

「そうなの?」

「はい、あれ?言ってませんでしたか?遅れるけど来ますよ。ちょっと用が入ったらしくて、でも直ぐ終わるからって。え?伝わってるものだと思ってましたけど」

「……来るんだ」

「はい」

ご飯会は、毎週、恒例のようになりつつあった。メンバーはずっと三人だ。三人が仲が良くての集まりというより、豊富で美味しいご飯に惹かれてというものだ。だけどその内、私はこっそり抜けた方がいいのかなとか、思ってる。今だって私は先に帰ることを公認にしてもらってる。それと抜けるのは、また意味が違うけど。
お邪魔虫は、居ないにこしたことはないから。
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