恋とは才能である
才能なんてない

15歳。既に気付いていた。
勉強は中の上の成績。
スポーツはそこそこできても、他にもっと上がいる。


努力は報われない。
そんなことは、多分昔に気付いていた。


でも、だからこそ、アニメや漫画の世界のように、頑張って頑張って頑張ったら報われると信じていた。信じたかった。


中学の部活で卓球をしていた私は、1年生にしてレギュラー…もちろん喜んだ。
でも、それは部活の中だけで、区大会を勝ち上がっても市大会で落ちた。
そんなレベルの部活。
努力をしなかった訳じゃない。
頑張った時もあった。
でも、中学から始めた私と小学生の頃から始めていた他校の生徒では全然違うことを知った。


高校では…
無理をせず勉強もそこそこして、帰宅部になり、彼氏とか友達をたくさん作って楽しく遊べると思った。

しかし、現実は甘くない。
私はまだ恋をしたことが無い。

生徒会長「おはようございます」

女子生徒「きゃーーーーっ」

入学式、柔らかく耳元で囁くような優しい声に、ホッとした。
挨拶の内容は入ってこなかった。
まっすぐと前を見つめる、その瞳と、柔らかく自信のある笑顔に憧れた。


挨拶が終わり、校長先生の話が始まった。


茜「ゆーうか!」

私「しーっ、入学早々、先生に目付けられたらどう責任とってくれるの?」

にししっと白い歯を見せて笑う女の子。
幼なじみの天野茜。
性格は活発で、男の子にモテそうな包容力のある胸とすらっとした足。
羨ましいと言えば、羨ましいが…
この体型でひがまれることの方が多いので、私は妬みより同情することの方が多い。

茜「生徒会長に惚れたんでしょっ?」

私「はい?」
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