旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~

 それにしてはベタベタした感じがないので、私が気を失ったか寝てしまったあとで、景虎が拭いてくれたのだろう。

 そう思うと、余計に羞恥が増した。昨夜のことを考えないように、シャワーを勢いよく浴び、全身を洗い流した。



 朝食を食べているうちに、だんだんと彼の顔を見られるようになってきた。照れくさいことに変わりはない。

 彼は昨日のことなど何も覚えていないように、冷静な顔でコーヒーを飲む。こっちはクルージングの記憶を上書きするくらい衝撃的だったのに。

 だからといって、彼がいつまでもニヤニヤしたり、赤くなっていても気持ち悪いか。

「そうだ、萌奈」

「は、はい」

 突然話しかけられ、緊張が戻ってくる。

「そろそろ、結婚式をどうするか考えたいんだが」

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