旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~

「どうして黙ってたの? それに、今まで一度も顔を出さないなんて、薄情じゃない?」

 本来なら、一番に駆けつけるのが夫のはずじゃないの?

 彼を見られないので両親をにらみつけると、父が落ち着いた声で説明する。

「きっと大きく混乱すると思ったから。少し落ち着くまで待っていたんだよ」

 たしかに、いきなり結婚していたと聞いたら混乱しただろう。

 現に今も大きく動揺している。

 自慢じゃないけど、大学までの私のあだ名は「箱入り娘」。門限も厳しく、男性と遊びで付き合うことは悪だと教え込まれてきた。

 ので、すっかり奥手な人見知りとなった私が、どうやってこの美男子を射止めたのか。にわかに信じがたい。

「まさか、子供もいるとか……」

「いや、それはまだだ。君たちは結婚したばかりだから」

 ほっと胸をなで下ろした。

 結婚していたことだけでもビッグバン並の衝撃なのに、この上子供もいたりしたら修羅場だ。

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