旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~
景虎の大きな手のひらが、私の丸い頬を撫でる。
ごく自然に近づいた唇が、私の唇を塞いだ。
あまりに当然のような流れに、目を瞑ることすらできなかった。
顔を離す彼を、瞬きをして見つめる。
「今から、もう一度恋を始めよう」
低い声が、鼓膜から全身に染みわたった。
全てを受け入れたような彼は、穏やかに笑みをたたえている。
「今から……」
「もう一度、俺を好きになってほしい」
握られた手が、高鳴る鼓動が、熱い。
「う……うん」
頷くしかなかった。
多少不思議なところもある彼だけど、もう一度好きになるのも時間の問題かもしれない。
苦しいくらい高鳴る胸を押さえ、そっと彼の手を握り返した。