こっちを見て。
「宗司は咲花にだけ甘いからな〜」
「……そんなことない。ていうか幼馴染だからだろ」
「まあそうだろーけど」
陽葵はかなり抜けてるところがあるし、ほっとけないっていうのはある。
それに純粋で素直で明るくて。
俺にはない色んな面があって、正直少し尊敬してる。
そんなあいつが、まさか松川と良い感じに見られてるなんて思いもしなかった。
というか松川なんて眼中に無かった。
「ぶっちゃけ宗司は咲花のこと好きなん?」
「は?」
「だってさ〜、他の女子と明らかに態度違うし、普通はそう思うだろ〜」
……俺が陽葵を……?
…………いや、ないない。
だって陽葵だぞ。
幼稚園の頃から一緒なのに、今更好きとかなるか?
どちらかと言えば陽葵は妹みたいな存在に近い。
「それはない」
「へぇー、そんなもんかー。逆に咲花は宗司のこと好きってことはないの?」
「……俺が知るわけないだろ。でも、陽葵からそんな風に感じたことないし、多分ない」
陽葵は嘘が下手だし、もし好きな人がいて隠しててもすぐバレる気がする。
だから陽葵が松川のことを好きっていうこともないはずだ。
「ふーん。まあ本人がそう言うならそうか〜」
「くだらない話してないでとっとと食え」
「ひぇー厳しい」
陽葵はただの幼馴染だ。
これまでそうとしか思ってこなかったしな。