こっちを見て。
「すげー顔してんぞ宗司」
「……は?」
「そんなに行きたかったなら一緒に行けば良かったのに」
「あの流れで「俺も行く」なんて言う方がおかしいだろ。そもそも行きたくねぇし」
「そんなこと言っちゃって〜。松川にヤキモチ妬いてんだろ〜」
ぴたりと筆が止まる。
……は?
何言ってんだ、こいつ。
「……なんだよヤキモチって」
「咲花と松川が仲良くしてるのが嫌なんだろ?俺から見たらバレバレだぞ」
「ちょっと待て。なんで俺が妬かなきゃならないんだよ」
「えー?そこまでは分かんねーよ。単純にやっぱり宗司は咲花のこと好きってことなんじゃねーの?」
「……」
だからそれはないって言っただろ。
……と、反論すべきなのに言葉が出なかった。
おかしい。
陽葵は妹みたいな存在のはずなのに。
野口の言葉がひどくしっくりくる気がして。
……無性にそわそわする。
「まあ宗司が自覚してないならほんとにただの幼馴染としての感情かもだけど。咲花も宗司の言う通り、そんな感じしないし」
「……陽葵はあれが普通だからな」
だから別に何も気にすることはないはずなんだ。
買い出しに行った2人をこんなに気にしてる自分が分からない。