こっちを見て。




「あ、宗くん達順調かな?早く戻ろっか!」


「……咲花さんっ」




よくやく戻る様子を見せた矢先、引き止めるように松川が陽葵を呼んだ。


俺は気付かれないように下駄箱の陰から2人の会話を聞く。




「あの……俺さ」


「うん?」


「咲花さんのこと好きなんだ」




…………は?




「……え」


「ずっと明るくて一生懸命な咲花さんのこと良いなって思ってたんだ。可愛いし、一緒にいるとすごく元気貰えるし」




……おいおい。

何言ってんだよ、こいつ。


そんなの、俺の方が知ってんだけど。




「え、えぇ!?」


「やっぱり気付いてなかったよね。ごめんね、驚かせて」


「いや全然!?……えっと……」


「あ、返事は今じゃなくていいんだ。文化祭の日にもう一度伝えるから……その時に聞かせて欲しい」


「え?でも……」


「お願い。だから、それまでは普通に接してていいから。
ごめんね、すごく勝手なお願いだけど……」


「私は全然……。松川くんがそれでいいなら……」


「ありがとう、咲花さん。じゃあ、そろそろ戻ろっか」


「あ……う、うんっ」




そう言い残して、2人はやっと下駄箱を後にした。


俺は落としかけた缶ジュースを一旦床に置いて、そのまま座り込んだ。



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