こっちを見て。
……まじかよ。
なんだそれ。
クラスの奴が言ってたこと、あながち間違いでもなかったのか。
……陽葵はどうなんだろうか。
松川の野郎、文化祭の日まで保留にしやがって。
じゃあ告白も文化祭の日にしろよ。
なんでこんな所で……。
「……」
いや、それよりも。
なんで俺はこんなに焦ってんだ。
松川に無性に腹が立つし、こんな所でただ盗み聞きしてるだけだった自分自身にも腹が立つ。
〝宗司は咲花のこと好きってことなんじゃねーの?〟
野口の言葉がふと思い出される。
……気に食わない。
有り得ないけど、認めないのもかっこ悪い。
野口の言う通りなのもムカつく。
けど――
俺、陽葵のこと好きなんだな。
松川の存在でそれに気付くってのが気に食わない。
でも、仕方ない。
それが紛れもない事実だ。
ていうか、どうすんだよ。
松川はもう陽葵に告白してんだぞ。
陽葵の気持ちを知ろうにも、直接聞けるわけがないし。
もし、このまま陽葵がOKしたら……
陽葵と松川が付き合うことになるのか?
無理だわ。
想像もしたくない。
絶対無理。
死んでも陽葵を渡したくない。
……そもそも俺のものでもないけど。