こっちを見て。




「ねぇ支倉くん」




そこで1人のクラスメイトが俺に近寄って来た。

前看板塗ってた時に隣に来た女子だ。


白石(しらいし)だっけ。




「支倉くんって文化祭誰かと回るの?」


「……別に。誰かとは回ると思うけど」


「じゃあ決まってない感じ?ならあたしと回ろうよ」




さりげなく俺の腕を触りながら、嬉しそうに言ってくる白石。


俺は眉間にシワを寄せて、白石から距離をとった。




「ごめん無理。他の奴誘って」


「え……なんでぇ?」


「白石とは回る気ない」


「ひ、ひどくない!?普通に傷付くんだけど」


「悪いけど諦めて」


「……ふんっ」




何よ!と怒りながら白石は教室を出て行った。


これ聞かれるの何人目だ?

断るのも疲れる。



……回る人なんて決まってないけど。

結局野口と回ることになりそうだ。


いやでも、ここで陽葵を誘うべきか?

幸い同じ午前班なわけだし。

松川は午後班だから、陽葵と回ることはないし。



……でも松川は文化祭の日に陽葵にまた告白するんだろ?

陽葵を誘ったとして、ほんとに2人で回れたりするのか?



駄目だ。

何が正解か全く分からなくなってる。


まじでどうかしてる、自分。


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