こっちを見て。
屋上の扉を開くと、風がぶわっと体を押した。
ここなら誰にも邪魔されないだろう。
俺はやっと陽葵の腕から手を離し、向き合うように立った。
陽葵はきょとんとして俺を見上げている。
「陽葵」
「はいっ」
「……」
つぶらな瞳に言葉が詰まる。
もし、告白して、
陽葵が拒否して、
二度と俺にこんな目を向けてくれなくなったら。
……俺は――
「……?宗くん?」
「……」
いや、駄目だ。
『だからこのまま言わない』なんて、そんな逃げ方はしたくない。
俺と陽葵は幼馴染で、今までずっと一緒に過ごして来た。
そんな関係に甘えてたままじゃ何も成長しない。
なんとしてでも陽葵を俺のものにしたい。
「陽葵、好きだ」
「……え?何が?」
「俺が。陽葵を」
「……」
大きな目をぱちくりさせる。
未だかつてない驚きようだった。
そしてその白い頬はみるみる赤く染っていく。
「……え、えぇ!?」
「言っとくけどちゃんと恋愛的な意味で好きだから」
「恋愛……てき……!」
「だから付き合って、陽葵」
真っ赤になる陽葵はまるでリンゴだった。
おかしい。
こんなに長くいるのに、この反応がどういう意味なのか全く予測できない。
俺の恋愛経験値がゼロに等しいからか。