こっちを見て。

「そ、宗くん苦し……っ」


「じゃあこれからは恋人同士ってことでいいんだよな」


「……うんっ」


「よし、決まり」


「宗くんは良いの？噂回って、絶対騒がれるよ？」


「別に良い。そんなのはどうとでもなるから」




むしろこれで近付いて来る女子が減ってくれれば好都合。


もし陽葵に何かしようとするクソがいたら、それはそれで叩きのめせばいい。




「うぅ、宗くんっ」


「うん？」


「大好き！」




ぎゅーっとか弱い力で抱き締められ、俺の理性が危うくぶっ飛びかけた。


なんだこの可愛い生き物。




「でも意外だな」


「え？」


「嘘もつけないような不器用な奴かと思ってたけど、ちゃんと俺に好きなことバレないように出来てたし」


「ああ、うんっ。頑張った！」




にっこりと眩しい笑顔を向けられ、俺は思わず口元が緩む。



俺は陽葵のこと、かなり甘く見てたんだな。


こんなに近くにいたのに、もっとちゃんと見ていれば良かった。


そうしたらもっと早く気付けてたかもしれない。


多分、俺もかなり前から陽葵のことが好きだったんだろうな。




「宗くん、これからよろしくね！」


「うん。よろしく」




付き合うって、何がどう変わるんだろう。


あんまり分かってないけど、まあいいか。

お互い初心者だから、ゆっくり経験を積み重ねていけばいい。


俺はもう陽葵を手放すことなんて出来ないんだから。