こっちを見て。
――「いっただっきま〜す」
豪快にメロンパンにかじりつく野口を一瞥して、俺もカレーパンを一口食べた。
俺達は基本的に屋上で昼食をとる。
「それにしても女子すごかったな」
「……何が」
「午前班争奪戦だよ。負けた女子が勝った女子のこと睨んでてちょっと怖かったわ〜」
あははと軽く笑いながら話す野口。
結局午前の女子数が定員よりオーバーしてしまった為、ジャンケンで勝ち抜けすることになった。
くだらない。
「ほとんどが宗司目当てだろーな」
「同じ班になってどうなるんだよ。何も変わらないだろ」
「まーまー、ちょっとは仲良くなれるかもしれねーじゃん。
そう言う宗司だって咲花と一緒の班になってるしさ」
そんな野口の何気ない発言に、俺は思わずむせる。
「……っは?何の話だよ」
「え?咲花と同じ班になりたくて午前班に手上げたんだろ?なんか咲花と目配せしてたし」
……なっ、
見られてたのか、あれ。
いや確かにあれだけ見つめ合ってればさすがに周りも気付くか。
……まあでも、陽葵がいたからというか陽葵に〝言われた〟から手を上げたんだけど。
そもそもなんで陽葵は俺にあんな視線を送ってたんだ?