花の都の王子は、異世界から来た女の子が愛しくてたまらない。



「君を返すわけにはいかないんだ……香月ちゃん」

「え、どうしてですか」 

「だって香月ちゃんは俺の“運命の人”なんだから。」


 運命の、人? え、私が? 


「この世界、フルールの神々が決めたんだ…この都に伝わる第二王子は運命の相手を引き寄せないといけない。その伝統である呪文を、唱えたら……香月ちゃんが現れたんだ。」

「えっと、違う世界からでも呼び寄せることができるんですか? 」

「うん、できるよ。そうだ俺名前知ってるけどフルネーム知らないや……教えてよ」

「え……和泉です。和泉香月です」


 そういうと、彼はすごく驚いた顔をした……え?
何を驚いているんだろうか……? 私には全くわからないんですが。


「……そっか、うんわかった。」

「な、何が……? 全く意味がわかりません。」

「あはは……今は分からなくていいよ」


 ……もっと意味不明なんですが。


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