花の都の王子は、異世界から来た女の子が愛しくてたまらない。



 部屋に入ると手を洗ってからお茶をマグカップに入れる。ソファーにドンっと座りコンビニで買ったどら焼きを取り出し一口食べる。モチモチの生地に生クリームと餡子のボリュームがすごい。

 なのにあまり甘くない。
 これ、すごく美味しい。絶対売れるわ。明日また買おう……もう一つ買えばよかった。

 どら焼きを食べ終わると、お茶を一口飲む。やっぱり、あったかいお茶淹れれば良かったかな。
 お腹がいっぱいになれば次は眠気が襲ってきて何も考えられない……。
 お風呂入らなきゃ、と思うのに私の目蓋は閉じていく。明日シャワー浴びればいいかと考えながら私は目を閉じた。


 そしてなぜか風が吹き、花の香りがした気がする。

 そして私は─︎─︎……
 何かの扉が開いたかのように、この世界から消えた。部屋には、一枚の花びらが落ちていた。







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