花の都の王子は、異世界から来た女の子が愛しくてたまらない。
「本物、なんですか……」
「うん、そうだよ。本物です」
私はこの人を信じていいんだろうか……信じたくないけど、なんとなくこの人が言ってることは本当だと思う。
もう、頭がパンクしちゃいそうだよ……。信じたくなくて、夢だって信じたくて頬を抓って見る。
痛い。ものすごく……これは現実で、この人は本物の王子様だ。
だけど、どうしよう…どうやって帰るんだろうと考えていると、王子様がいきなり笑い出した。
「な、何を笑ってるんですか」
「ははっ、ごめんごめん。香月ちゃんって面白いね……なんか表情がコロコロ変わって可愛い」
「え、え? か、可愛い? そんなことはありませんっ、そういえばどうやったら帰れますか」
「帰りたいの? 元の世界に……」
彼は一瞬悲しそうな顔をしたがすぐに笑顔に戻って、「香月ちゃん、ごめんね」と言うと続けてこう言った。