目覚めのキスを君に
「こんな綺麗な花畑、見るの初めてかも」

オーロラは花畑の中に入り、色とりどりの花をつんで花束を作り始めた。赤や白、ピンクの美しい花をつんでオーロラは花の香りを嗅いだ。甘く優しい匂いがする。

「何ていう花なのかしら?私、花の名前はあまり知らないの」

花を見て綺麗と思うことはあっても、花の名前はチューリップやバラなど誰もが知っているものしか知らない。

動物たちも首を傾げていたが、不意にその耳がピクリと動いた。そして動物たちはあちこちに逃げていく。

「えっ!?どうしたの?」

突然のことにオーロラは戸惑ったが、背後に誰かがいる気配を感じた。動物たちは人の姿を見て逃げたのだ。

オーロラはゆっくりと振り返る。その刹那、心にぶわりとまるで突風のように押し寄せる感情があった。時が止まるような感覚に、オーロラはどうしたらいいのかわからなくなる。ただ、頬が赤く染まっていった。

オーロラの後ろに立っていたのは、腰に長い剣を差したリボンで長い金色の髪を束ねた男性だった。童話に登場する王子のような衣装を着ている。
< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop