目覚めのキスを君に
オーロラの腕を強くフィリップは掴み、悲しげな声で言う。その瞳で見つめられた刹那、オーロラの頭に激痛が走った。

「痛いッ!!」

ズキン、と頭が殴られているように痛む。その痛みの中でオーロラの頭の中に波のように暗い記憶が流れ込んできた。

『フィリップと付き合ってるなんて、ありえない!!彼はみんなの王子なのに!!媚を打ったんでしょ!?』

『女優になりたい?あなたに無理でしょ。そんなもので成功できる人なんて一握りよ。現実を見なさい』

『お兄ちゃんは出来がいいのに何でお前は普通なんだ。いずれは家から追い出さないとな』

『お前ってかわいそうだよな。生まれてこなきゃよかったのに』

突き刺さる暴言の数々にオーロラの心はどんどん壊れていく。最後には涙の一粒も流せなくなっていた。

『……私なんていない方がいい』

そう呟き、オーロラは学校の屋上から飛び降りる。その瞬間をフィリップが目を見開いて見ていた。

『オーロラ!!』
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