目覚めのキスを君に

フィリップの叫び声と共にオーロラの記憶は暗闇に包まれた。

「ハアッ……ハアッ……ハアッ……ハアッ……」

オーロラはその場に崩れ落ち、胸元を強く掴む。息がだんだん荒くなり、過呼吸を起こしていた。

「……オーロラは学校の屋上から飛び降りて、もう三年間も昏睡状態だ。そろそろ起きてよ。またもう一度、君とデートしたいんだ」

フィリップがそう言い、オーロラに向かって手を伸ばす。その手をオーロラは払い除けていた。苦しげな呼吸をしながらオーロラはフィリップを見つめる。心に思っている言葉が、なぜかフィリップに伝わっていった。

「目覚めて何になるの？私は誰かに嫌われて、負担になって生きていくしかない。夢も叶えられない、何もできない。生きている価値なんてない！！だったらもうこのまま夢の中で幸せを感じていた方がずっといい！！」

地面がバキバキと割れ、オーロラの体を地面から伸びたいばらがゆっくりと包んでいく。鋭い棘がオーロラの体に突き刺さった。