目覚めのキスを君に
泣き出しそうな声にオーロラは横を見る。そこには、フィリップが瞳を潤ませていた。オーロラはゆっくりと微笑む。

「フィリップ……」

その刹那、オーロラはふわりと優しくフィリップに抱き締められる。フィリップはオーロラの胸の中で泣きながら「よかった……。やっと目を覚ましてくれた……」と呟く。

「待っていてくれていたの？」

オーロラがそう訊ねると、フィリップは「待つに決まってるでしょ！」とオーロラをさらに強く抱き締めた。

数十分、二人は抱き締め合っていた。やがて落ち着いてきたのか、フィリップがゆっくりとオーロラから離れる。

「フィリップ、目が赤くなっちゃってるよ」

もらい泣きをしてしまったオーロラはニコリと微笑む。フィリップは「オーロラのせいだからね！」と言いながらポケットから小さな箱を取り出した。

「僕と結婚してください。オーロラが悲しんだ分、いや！それ以上にオーロラを幸せにします」

オーロラは微笑み、「はい」と頷く。そしてフィリップに「キスして？」と頬を赤く染めながら言った。

お姫様を深い眠りから救ったのは、愛する人のキスーーー……。
< 8 / 9 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop