Déjàvu デジャヴ

夕方、外に出たら、まだ暑かった



「もぉ!何しに来たの?」



「ヤル気はあったけど、眠くなった」



「来た意味ないじゃん!」



「あるよ!涼しかった!」





ブーブーブー…


「上杉の携帯?」


「あ、オレだ…」






携帯をチェックしながら
ふたりで歩いた




「友達?」



「んー、まぁ…」


上杉は私に答えながら返信してた




あ…


先輩のことを思い出した



付き合ってる、の?





「折原、花火行く?」



「来週だっけ?
まだ約束してないけど
みんな行くのかな?」



中学生になると
みんな親と一緒じゃなくて
友達と行くんだよね




「上杉は、行くの?」



「んー…」


上杉は、まだ誰かに返信してた



気になる…




「クラスの人?」



…先輩?かな?



「…3年の先輩」



やっぱり…



「…付き合ってる?…の?上杉」



「んー」



ズキ…




「いつから?」



「この前」



知ったら
やっぱり
傷付く




「へー」



「LINEしてたら
付き合おうって、きた」



「へー
…上杉、好きなの?」




また傷付くのに…

なんで聞いたんだろ?




「や…わかんない…」



「なにそれ…」



「だって、LINEしかしたことなかったし」



「この前、一緒に帰ってた?」



「あー、うん
帰ろうって、LINEでいわれたから…
1回だけね…
すぐ、夏休みになったし」



「一緒に帰って、なんか話したの?」



「特に…気まずかった…」



「でも、付き合ってるんでしょ?」



「うん
手、繋ごうって言われた」



ズキ…




「へー
楽しそう、だね…」



いいな…
私も上杉と…



「楽しい?…どのへんが?」




「え、なんか、ドキドキとか
キュンキュンとか、するんじゃない?」



きっと上杉と手繋いだら

私もすると思う




「なに、それ?」



「しなかった?」



男子には、わかんないのか…



「んー、よくわかんない」




ダメじゃん…




「夏休み、会ってるの?」



なに私聞いてるんだろ

傷付くだけなのに…




「いや
毎日LINEくる」


ズキ…



「なんて?」



傷付くのに

気になるんだ




「おはよーとか
おやすみーとか」



「え、それだけ?」



「好きだよーとか」



ズキ…

苦しい、上杉



「で、上杉、なんて返すの?」



「OK☺︎ってスタンプ」



「え?」


スタンプって…



私は笑った




「え、なんか、変?」



「変…だよ…」



「…じゃあ、なんて?」




「…オレも好きだよ…とか」




ホントはそんなこと
言ってほしくない




上杉と目が合った




ドキ…




「え…?」



「え…
だから、オレも好きだよ…って返信したら?」



私は
恥ずかしくなって目をそらした




「好きじゃなくても?」



上杉が私を見て聞いてくる


こっち、見ないで…


ドキドキするから




「好きじゃないのに付き合ってるのが
よくわからない!」



ムキになってる、私



「オレもわかんない
オレのどこが好きなのかもわかんないし」




見た目…?



上杉は背が高くて大人っぽかった

170cmぐらい?

1年生の中では1番大きいかな?



日に焼けててかっこよく見えるし


誰にでも優しかった




「私は
付き合ったこととかないから
わかんないけど
メッセージに意味深なコメント書いてる人とか
LINEのアイコンを同じのにしてる人見ると
いいな…って思う」



「あ、言われた!それ!
同じのにして!って」



「じゃあ、なんでしないの?」



あ、チェックしたことバレるかな…




「意味、わかんないから…」



「お互いに好きだよ…って意味じゃない?」



「へー」



興味、なさそう…







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