Déjàvu デジャヴ

「考えてくれた?」

図書館から出ると上杉に言われた



「先輩と、花火行かなくていいの?」



「うん、行かないってLINEした」



「なんで?」



「だって、絶対つまんないもん
一緒に行ったって…

公園で花火してた方が
絶対楽しいと思ったから…」




「そんなのいつでもできるし
花火大会は、今日しかないんだよ!」




「オレ見る花火って、好きじゃない
自分たちでやった方が楽しくない?」




「そぉかな?
綺麗だよ、花火
近くに行けば、大きく見れるし

先輩と行ったら
きっと楽しんじゃない?」




「去年も見たし
またどーせ、同じだろ
しかも、混んでるし…

先輩と行ったって…
きっと、喋んないと思う
また気まずい…」




気まずいなら

なんで付き合ってるの?




私には、わからないな…




「今日、課題がんばったから!」



もしかして
一緒に花火がしたくて頑張ってた?



「…」



いいのかな…



考えてたら
二の腕を摘まれた




「ね!花火、買いに行こう!」



ね!…じゃなくてさ…



「これから?」



「うん、これから!」



また二の腕を摘まれた



「ちょっと…
やめてよ…」



恥ずかしいじゃん!




「 ね!いーじゃん!」




そう言って上杉は走り出した




「上杉…待ってよ!」



私も上杉を追いかけて走った





「折原、遅!
はやくーーー!」



上杉は私の前を笑いながら走ってた





夏の夕暮れ




私は生温い風と一緒に


上杉を追いかけた






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