Déjàvu デジャヴ

「こんにちは」


リビングに小さい男の子がいた




「…」



「ナツ!おねーちゃんに、こんにちはは?」



「ナツくんていうんだ…
ごめんね、びっくりしたよね」




「…
こんにちは…

ハルの、おともだち?」


かわいい



「うん、お兄ちゃんのお友達だよ」



「ナツ、お友達じゃないよ
オレの彼女だよ」



「かーじょ?」



「うん彼女
ハルの好きな人
ナツも保育園に好きな子いるでしょ」



「うん、いっぱいいる!
りっくんと、かいくんと、みーちゃんと…」



「かわいいね…」



「うん
オレ、末っ子だったのに
一気に弟ふたりできて、戸惑ったけど…」




「ナツくん、何歳?」



「…よん!」



「ナツ、それ、手が5になってる
こーだよ」


上杉が親指をたたんで見せた




「…こぉ…?」


ナツくん人差し指もたたんじゃった




「…うん…ちょっとちがうね…
それは、3だね…
ナツ、ジュース飲む?」



「うん、のむ!」



上杉、お父さんみたい




「ねぇー、ねぇー、
おねーちゃんなんていうなまえなの?」



「ひとは、だよ」



「ひ、と、は?」



「うん、ひとは」



「ひとは、あそぼ!」



「ナツ、ダメ!その呼び方
オマエの女みたいに呼ぶな…」


上杉が笑いながら言った




「なんでダメなの?」



「ダメなの
ハルもまだそぉ呼んでないから

おねーちゃん、て呼びな」



「ひとはって、ゆったもん!」



ふたりともムキになってる



「ナツくん、いいよ、ひとはで」



「ダメなの!オレが」


上杉、大人気ない…



「ひとは…ひーちゃん!」



「やめて、それも
誰か思い出すから…」


確かに…



「ひーちゃん、ひーちゃん」



「シー!ナツちょっと静かにして…
フユ、起きちゃうから」



「フーと遊びたい!」



「シー!
あ、起きた…」



「ハル、ナツくん、フユくんなんだね」



「あ、そーそー
夏輝(なつき)と冬翔(ふゆと)っていうの
3人兄弟みたいでしょ
まぁ、兄弟だけど…
義父さんがそーしよって付けた」



「なんか、いいね…」



「うん…
ちなみに冬翔は春生まれなんだけどね
無理矢理感ありすぎでしょ」





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