イジメ返し―新たな復讐―
「佐知子、ごめん。今あたし愛奈に――」

「あたし達も真紀に大事な話があるんだって。ねっ、こっち来て？」

困ったようにわたしに視線を向けた真紀はずるずると佐知子に引っ張られていく。

わたしはそれを引き留めることもできず、黙ってスカートを握り締めることしかできない。

「愛奈、ちょっと来て～！」

すると、唐突に誰かに名前を呼ばれた。

それが志穂ちゃんだと気付き、わたしは顔をひきつらせた。

「呼ばれてんだから、返事は？」

続けてカスミちゃんがわたしを睨む。

「早く。何ぐずぐずしてんのよ。のろま！」

カスミちゃんが大声でわたしを恫喝する。

クラスメイト達はその様子をじっと眺めている。

今度はなんだろう。お金の催促……？それとも、暴力？

朝から苛立っていたみたいだし、腹の虫が収まらないのをわたしで発散するつもり……？

どちらにしてもカスミちゃんの席にいってもわたしにとってプラスになることなんて何一つない。

分かっていても、わたしはカスミちゃんの命令から逃れることはできない。

どうして。どうしてわたしがこんな目に……。わたしが何をしたっていうの……？

どうしてカスミちゃんはわたしをイジメるの……――！？
< 115 / 292 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop