イジメ返し―新たな復讐―
カスミちゃん……怒ってるだろうな。

カスミちゃんから逃げたって何の解決にもならないだろう。

むしろ逃げたことでカスミちゃんはわたしへの苛立ちを募らせているに違いない。

放課後、うちにやってくることだって考えられる。

「なんでイジメって起こるんだろうね」

ポツリと独り言のように呟いたエマちゃんの言葉に思わず顔をあげる。

「やってもやられてもどちらにとってもマイナスでしかないことをどうしてするんだろう」

「そう……だね」

何度同じことを考えただろう。どうしてイジメなんてものが起こるのか……と。

「なんで……イジメって起きるんだろうね……」

そう言った瞬間、涙と嗚咽が堰(せき)を切ったように流れ出した。

今までされた苦しく辛い出来事が一気に込み上げてくる。

ずっと一人で溜め込み、誰にも相談できずにいた。

真紀にも相談できなかった。純粋な真紀にはイジメという概念がそもそもないのかもしれない。

悪意を誰かに向けたことはないだろうし、誰かに向けられた悪意に気付くこともない。

そんな真紀に話したってわたしの気持ちに共感などしてくれるはずもないだろう。
< 125 / 292 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop