イジメ返し―新たな復讐―
「カスミ、そろそろやめたら?これ以上やると死んじゃうかもよ?」

「これぐらいで死ぬわけないでしょ」

カスミちゃんはそう言うと、雑巾のようにボロボロになったわたしの髪の毛を掴んで引っ張った。

「痛い!!痛いよ……!!」

「立てよ!!早く!!」

髪の毛を引きちぎられるのではと恐ろしくなるほどの痛みに顔を歪めて必死に抵抗する。

でも、カスミちゃんはわたしが悲鳴を上げる度に足であちこちを踏みつける。

殺されると思った。カスミちゃんはわたしのことを人間として扱ってなどくれない。

カスミちゃんには心がない。人間の心などこれっぽっちも持ち合わせていない。

許さない。わたしが一体何をしたっていうの……?

「や、やめて!!」

トイレまでズルズルと体を引きずったあと、カスミちゃんは手を離した。

「分かった。しょうがないからやめてあげる。ただし、トイレの便器をちゃーんと舐めたらね?」

「便器を……?」

1つしかない男女共有の古ぼけた和式便座。その周りには蜘蛛や名前も分からない小さな虫が這いつくばっている。

入るのすら寒気がするあのトイレの便器を舐めろ……?

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