イジメ返し―新たな復讐―
「そ、そんなことできないよ……」

「ふぅん。また蹴られたいんだ?アンタってドMだねっ」

クックっと喉を鳴らして笑うカスミちゃんの隣で、志穂ちゃんが「めんどくさいからさっさと舐めちゃってよ。このトイレ汚いし早く出たいんだけど」と文句を言う。

「カスミちゃん……お願い。もうこんなことやめて……。わたし、何かした?何かしたなら謝るから。もうカスミちゃんをイライラさせることもしないから。だから――」

「別にアンタになんかされたわけじゃないし。でも、なんかウザいんだよね。アンタって昔から。勉強もできるし、運動だってそこそこできるじゃん?親だって金持ちだしさ。いつもいい物持ってるし。いい暮らしして何の悩みもないでしょ?そういうの鼻につくんだよねぇ」

「そ、そんなことないよ……!!」

勉強だって人よりも覚えが悪い分必死に努力しただけ。

親がお金持ちなのは確かかもしれない。でも、両親の仲は冷え切っているし、わたしは両親に刃向かうことなどできない。

ずっとずっと我慢する生活を続けてきた。

それをカスミちゃんは知らないだけ。わたしの苦しみも悩みも苛立ちも悲しみも……何も知らないからそんなことが言えるんだ。

「認めればいいじゃん。自分は頭が良くて金ももってて将来有望です、って。そうやって謙遜されるたびになんかイラつくの。そのたびに全部壊してやろうって思う。アンタから全部奪ってやりたいって思う」

「カスミちゃん……」

「イジメなんてそんなもんでしょ?あたしはアンタをイジメると気持ちがスーって軽くなるの。楽しいの。アンタをイジメんのが。今度はどうやってイジメてやろうかって考えると楽しくて楽しくてマジで笑いがとまんなくなる」

「そんな!」

わたしがカスミちゃんのイジメにここまで苦しんでいるというのに、カスミちゃんはわたしをイジメて楽しんでいる……?

楽しくて楽しくて仕方がない……?なにそれ。なんなの……。
< 139 / 292 >

この作品をシェア

pagetop