イジメ返し―新たな復讐―

「悔しいならやり返してみれば？まっ、アンタみたいに無力な人間にはできないだろうけど。アンタはずーっとあたしにイジメられ続けるの。それが嫌なら死ねば？アンタが死んだってだーれも悲しまないから。あっ、今日死んでくれてもいいからねっ。遺書にあたしの名前書いたっていいから。でも、あたしがアンタをイジメてた証拠なんて何一つないんだから」

カスミちゃんはトイレの床に座り込んでいるわたしを腕を組んで見下ろした。

「アンタ、昔からあたしの顔色伺ってたよねぇ。怒らせないように気を遣ってたでしょ？でも、残念だったね。伺うようなアンタの顔見る度にもっとイジメてやろうって気になっちゃったの。あたしって根っからのドSだから」

「っ……」

「一人しかいなかった真紀っていう仲間もいなくなっちゃったし。もうアンタ一人じゃん
。あっ、違った。最近また新しい仲間ができたんだっけ？でも、残念。あの子だってすぐにアンタを裏切るよ」

「エマちゃんは……わたしを裏切ったりしない」

「何その自信？バーカ、人を簡単に信じすぎ」

「カスミちゃんは……可哀想な人だね。カスミちゃんは誰の事も信用できないんだから」

「は……？」

カスミちゃんは誰のことも信用していない。きっと、今隣にいる志穂ちゃんのこともだって。

「アンタ、誰に向かって口聞いてんの？」

カスミちゃんはそう言うと、右足を振り上げてわたしの顔に爪先を叩き込んだ。

鼻からポタポタと垂れる真っ赤な血。

わたしはそれを指で拭いながら顔をあげてカスミちゃんを見つめた。