イジメ返し―新たな復讐―
カスミちゃんというクラスのボスに目をつけられてしまったことでまた小学生の頃のようにイジメられてしまうかもしれないと思ったからだ。
もう二度とイジメられたくない。でも、どうやって……?
そのとき、ピンときた。代りの人間がいればあたしは逃れられる。
あたしは自分可愛さの為に愛奈のことを蹴落とすことにした。
『ねぇ、みんな聞いて。あたし……愛奈に酷いことされた……』
あたしは友達にそう言って泣きついた。
『は、なにそれ。アイツ最低なんだけど』
『うぜー』
あたしの話を聞いた友達は愛奈に敵意をむき出しにした。
その日から、あたしは愛奈をイジメた。
それを周りの友達ははやし立て、イジメはクラス中に広がっていった。
正直、ここまでするつもりはなかった。
そもそも、あたしに踊れと命じたのはカスミちゃんだし、悪いのは愛奈ではなくカスミちゃんなのだ。
でも、数週間も経てばそんなことどうだっていいことのように思えた。
キッカケはどうであれ、あたしは愛奈をイジメることに快感を覚えるようになっていた。
あたしが愛奈をディスるようなことをSNSに書き込めば、みんながはやし立ててくれる。
教室内で大声で愛奈の悪口を言えば、あたしの発言にみんなが反応する。
自分がどんどん強くなっているような気持になった。