イジメ返し―新たな復讐―
宮前志穂side
【宮前志穂side】
「ね、ね、カスミ。この人、咲人っていうんだけどさ。ヤバくない?イケメンでしょ?」
あたしはスマホ画面の中で笑顔を浮かべる彼を誇らしく思いながらカスミに見せつけた。
「それ誰?アンタの彼氏?」
「ん~、まだそこまではいってないけど、そのうちそうなるかも。紅蘭(くらん)と華の友達なんだって。紹介してもらう予定なんだ」
「ふぅん。顔はそこそこだけど加工してんじゃん。実際はこんなキラキラした目してないでしょ。全身の写真ないの?」
「全身のはないけど……」
「じゃあ、チビ確定じゃん」
鼻で笑うカスミに顔面の筋肉がぴくぴくと引きつる。
あたしはクソ女!と心の中で吐き捨てた。
最近、SNSを通じて隣町に住むあるグループと知り合った。
年も同い年で互いの趣味もあったことで紅蘭とリアルでも連絡を取り合うようになり、先月、紅蘭の親友の華と3人で会うことになった。
二人はお洒落で可愛くて明るくて面白くてとにかく眩しい存在だった。
二人の住む町はあたしの住む町に比べて人口も多く、多くの店が立ち並んでいる。
山にあたりを囲まれてなどいない。
刺激的な二人に触発され、田舎者な自分が急に恥ずかしくなった。
でも、二人は『そんな変わんないって。志穂も可愛い』と優しく微笑んでくれた。
嬉しかった。この閉鎖的な町から抜け出すことでこんなにきらびやかな人間と会えるなんて。
まるで自分まで特別な人間になったような優越感に浸ることができた。