イジメ返し―新たな復讐―
「あーあ。佐知子っていう金ズルがいなくなっちゃったから最悪」

昼休みになり屋上でカスミが購買のパンを頬張りながら眉間にしわを寄せた。

「佐知子、今どうしてるんだろうね」

「さぁ?バカだよね、アイツ。つーか、そもそもなんで香織と杏奈と揉めたわけ?」

「うちが聞いた話だと、隣のクラスのマスク事件が発端らしいよ」

隣のクラスの全員で写真撮影をするという神宮寺エマの提案で黒マスクをつけてきたことが教師の耳に入ったことで問題となり、校風を損ねないようにということでマスク着用が禁止になった。

詳しく話すとカスミは「へぇ」と呟いた。

「神宮寺エマって……前にあたしに楯突いてきた女だっけ?」

「そうそう。ちょっと前に転校してきた美少女」

「そんなに可愛い?」

「え、可愛いでしょ。性格は分かんないけど、少なくとも容姿はパーフェクトだし。家も金持ちらしいし。なんでこんな田舎町に引っ越してきたんだろうね」

以前は東京の一等地に住んでいたという噂を聞いたことがある。

神宮寺エマは順風満帆な人生を約束された特別な人間だ。

「アイツ気に入らないんだよねぇ。しかもさ最近愛奈とつるんでんの。アンタ、知ってた?」

「あー、確かにそうかも。最近、愛奈ってば真紀と一緒にいるところみないよね。ていうか、真紀最近学校来ないじゃん。愛奈となんか揉めたのかな?」

「さぁ?つーか、愛奈の奴エマっていう仲間ができたと思って調子に乗ってるし。アイツマジウザい」

カスミはそう言うと、パンの袋をポンッと地面に放り投げた。

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