イジメ返し―新たな復讐―

「そういうことじゃないけどさ」

「志穂ちゃんって本当にズルいよね。昔からそう。自分は悪くないって顔してカスミちゃんがわたしをイジメても知らんぷりしてさ。直接的に危害をくわえなくてもイジメ行為をそばで見ていながら何も言わないなら志穂ちゃんも同罪だよ」

「は……?」

「わたし、もう我慢するのはやめたの。わたしはあなたたちにたくさんのものを奪われた。だから今度はわたしが奪う番。アンタたちの好きなようにはさせない。やり返してやる」

ジリジリと間合いを詰めてくる愛奈に顔が強張っていく。

こんな愛奈みたことない。人が変わってしまったみたいだ。

「で、できるわけないじゃん!やり返すことなんて絶対に無理!」

「無理じゃない。佐知子のことだって成功したから」

「佐知子?」

「そう。佐知子がどうなったか志穂ちゃんだって知ってるでしょ?あんなに素敵なお母さんを傷付けたこと……きっと一生後悔しても後悔しきれないかもしれないね」

愛奈はクックと楽しそうに喉を鳴らして笑う。

その笑みにぞっとする。以前はオドオドしていたのにまるで人が変わってしまったように今は堂々としている。

< 208 / 292 >

この作品をシェア

pagetop