イジメ返し―新たな復讐―
「佐知子はわたしをイジメた。だから、やり返された。それもこれも因果応報なの。やったらいつかはやり返される。だから、志穂ちゃんも気を付けた方がいいよ?」

「うちにやり返そうって言うの……!?うちはアンタに何かしたわけじゃないじゃん!確かに佐知子とカスミはアンタのことイジメてたよ!?でも、うちは違うし!!」

だって、あたしは直接的に愛奈を苦しめたり痛めつけたりしていない。

確かにカスミが何をしようと黙っていたけど、それと愛奈へのイジメを一緒にしないでほしい。

「そう。それは認識の違いっていうもの。まっ、わたしは志穂ちゃんもイジメの加害者だと思っているから。必ず仕返ししてやる。イジメ返しされたとき、今までの自分の非道な行いを後悔したらいい」

愛奈はそう言うと、にっこりと笑った。

そして唐突にあたしの頬に右手の拳を叩き込んだ。

顎にヒットした愛奈の拳。鈍い痛みの後、唇から顎にかけてじんわりと温かくなった。

指で拭う。真っ赤な血が指先にべったりと張り付いている。

「あ、アンタ……!よくも……」

「イジメっ子がずーっとイジメっ子でいられると思わないでね?どう?立場が逆転してみて何か感じる?」

「っ……!」

唇からの血が止まらない。何の受け身も取れずに殴られたせいで脳が揺れたのか頭がくらくらする。

すると、今度は腰に痛みを覚えた。

蹴られた……?まさか、あたしが?愛奈に?

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