イジメ返し―新たな復讐―
「マズいなぁ」

カスミはきっと気付いてしまっただろう。

あたしが愛奈を屋上へ呼び出したものの、たいして痛めつけることができなかったと。

むしろやり返されたことに気付いたかもしれない。

放課後になりカスミと別れると、あたしは紅蘭と華と遊ぶためにバスに乗り隣町に向かった。

二人に会う前に一人で近くのテナントショップのトイレにより化粧を直す。

『咲人も呼ぶから。うまくやんなよ!』

紅蘭と華の共通の友人である咲人も後から合流することになっていた。

カスミの言う通り少しだけ背は小さいけど顔はなかなかいい。

それに、咲人とうまくいけば紅蘭と華との関係も更に深くなるだろう。

わざわざカスミに依存することもなくなる。

『あたしね、小学校の時からカスミって子に奴隷みたいに扱われてるの。ひどくない?』

紅蘭と華に話すと、二人は目を見合わせて『マジで?志穂ってば可哀想。なんかあったら相談乗るからね』と優しく励ましてくれた。

紅蘭と華がいれば、もうカスミは用なしだ。

あんな小さな田舎の学校の中でしか威張れないカスミと、この町一体に顔がきく紅蘭と華とを天秤にかけたらすぐに答えはでる。

化粧直しを終えて、咲人を必ず落とすと決意を固めてからトイレを出る。

そのとき、見覚えのある顔に思わず足を止めた。

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